主婦・学生のアルバイトとタックス
2021年用に改訂しました。
アメリカで子育てをしているお母さまたちは、お子様がデイケア、小学校に上がる頃になると、少しお時間ができますから、お子様のキャンプ代やお小遣い、自分の自己実現バイト・パートタイムのお仕事をされる方もいらっしゃると思います。学生さんは、夏休みに学費・娯楽費稼ぎに精を出される方もいるでしょう。
実は私もタックスの仕事を始めたのは子供が小学校に行っている間の9時-2時にできる仕事だった、というのがきっかけでした。
しかし、バイト先からタックスフォームをもらい、タックスファイリングをしたはいいが、「払い込み!」という事態に驚かれた方もいるでしょう。
また、今年からアルバイト・パートタイムを始めたけれども、来年のタックスはどうなってしまうのかしら、と今このブログを読見ながら、考えている方もいらっしゃるでしょう。
そのような観点から、今回は「主婦・学生のアルバイトとタックス」という題名で注意する点を書かせて頂きます。
アメリカの主な雇用体系には大きく二つあります。それは:
(1)従業員 (2)コントラクターです。
”雇われる”という立場であれば、だいたい上記のいづれかになります。個人営業の方は(2)のコントラクターの立場が当てはまります。
コメント:雇用形態には本当はもうすこしあるのですが、ここでは割愛します。税制上の従業員とコントラクターの違いは、雇用主が被雇用者の行動、仕事の仕方をどこまで”Control”するかによって決まるのですが、ここでは、雇用主によって決められた立場によりタックスがどうかわってくるのかを簡単に説明します。
従業員とコントラクターの違い
源泉徴収(所得税・社会保険料の天引き) ●従業員はお給料明細を見ると源泉徴収がされています。 ●コントラクターは源泉徴収がありません。
受け取るタックスの書式 ●従業員が受け取るタックスの書類はForm W2です。 ●コントラクターはForm 1099-Miscです。 *2020年のタックスからForm 1099-NECに変更となりました。
タックスファイリング時のインパクト ●従業員(W2)は所得税と社会保険料(ソーシャルセキュリティーとメディケア保険料)が毎回のお給料ごとに源泉徴収されているため、リファンドが貰える場合が多い。
リファンドの出所は毎月納めた源泉徴収であるがため。 (*源泉徴収が足りない場合はリファンドどころか、払い込みという事態もある。) ●コントラクターは、源泉徴収がされていないので、タックスファイリング時に払い込み になる場合がある。 (*夫婦合算にてファイルする場合、相方の雇用主にて多く源泉徴収がされている場合は払い込みを免れることもある。)
払い込みを軽減する方法(コントラクター)
タックスリファンドは最終的に計算した実勢のタックスが源泉徴収額より小さい場合に起こります。すでに払い込んだ源泉徴収の税金と実際の税金の差額がリファンドとなります。(年収によって補助金が貰える場合もあります。) 一方、源泉徴収がされていないコントラクターはタックス計算時に税金をそこで納めることになります。
更に、コントラクターは社会保険料も一定以上の収入がある場合も支払わなければなりません。従業員の場合、会社が社会保険料の半額を負担しています。これは日本の厚生年金制度と同じです。
払い込み軽減対策:
(1)源泉徴収の代わりになる”Estimate Tax"を4./15, 6/15, 9/15, 1/15までにIRSに納税する。 当方がお客様にお勧めしているのは、全収入の20-30%くらいを納めておいた方が安全とアドバイスしています。<申し訳ないですが、税金は逃れられません。。。>
(2)仕事に直結した税制で認められる経費を引き、Net Incomeを低く抑えて税金を下げる。
何故、雇用主はコントラクターを雇うのか? 従業員(W2)を雇うには、州と連邦の失業保険料、Workers Compensation、社会保険料半額負担、健康保険代補助、Payroll (給与体系)、リタイアメントなどの費用を雇用主は負担します。 例えば、お給料の支払い金額が$40,000としますと、雇用主の負担は約10%以上になります。単純計算して、$4000-$5000の負担となるでしょう。
更に、W2従業員を持つことにより、労働基準法などの色々な規則への準拠が求められ、雇用主にとって、時にはお給料の半分以上の経費がかかることもあります。
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以上、ざっと説明いたしましたが、「あ、うちの雇用主、けちやん!」「私、こんな扱いされてるやん。」と思われた方もいると思います。(なぜここで関西弁を使うのかはお許しくださいませ。)事実、W2の従業員であるべきなのに、コントラクター扱いになっている場合も多いです。
明日、気まずい気持ちで職場に行かれる方もいるかもしれませんね。 一旦、お話をして、パートでもW2の社員になれないかを聞いてみるのもいいかもしれません。また、「戦いたい」のであれば、タックスのファイリング時に書式を作り申し出ることもできます。
従業員として時間に拘束されるか、子供のために時間に自由が利くアルバイトを選ぶかは、それぞれの方の選択なので言及いたしませんが、雇用主様とのお給料交渉にも上記の知識があれば少し役立つかもしれませんね。
弊社では、来年のTaxのシミュレーションと対策のサービス、Tax Planningも行っています。来年のタックスファイリン時に払い込み+罰金となることを考えれば、Tax Planningの費用は納得がいくかもしれません。