アメリカ税制解説
J1 Visa 研究者 3年目に起こること
J1 Visa 1年目と2年目

J1はUS Residentの判断に使う”Substantial Presence Test"という扱いから除外されるため、”Exempted Status"となり、例え365日米国に滞在していても、ビザをH1Bなどに変更しない限りは、Non-Resident扱いとなります。多くのご研究者は大学から配信されるソフトを使ってNon-Residentとしてファイルすることが一般的なようです。

以下は例です。

Dr. Shinya Yamanaka was a citizen and resident of Japan just prior to his arrival in the United States. He is a research scholar in chemical engineering at a university in Chicago. He arrived in the United States on 08-29-2015 on a J-1 visa. Assuming he has not changed to another immigration status, determine his residency starting date.
 

Solution:

Date of entry into United States: 08-29-2015
Research scholar J-1 visa. Exempt Individual 2 calendar years: 2015 and 2016.

Which federal income tax returns will Avatar file for 2015, 2016, and 2017?

2015:
Shinya will file Form 1040NR or 1040NR-EZ as a nonresident alien.

2016:
Shinya will file Form 1040NR or 1040NR-EZ as a nonresident alien.

Non-Residentのファイリングについては、こちらをご覧ください。

 

ご研究のファンド元、大学、研究室の方針にもよりますが、最初の2年間は、日米租税条約第20条により、ご収入が免税となる場合が多いと思います。タックスファイルに関しては、大学配信のソフトが自動対応してくれる場合が多いと思います。

 

​多くは大学よりForm 1042Sが3月中旬までに発行されますので、免税収入の内容がわかる場合があります。大学によっては、Form 1042Sを発行しない場合もあるようです。

J1 Visa 3年目 

J1で3年目になりますと、大学の国際事務所から「3年目の方は、通常のファイルとなりますので、配信のソフトはもう使えなくなります。自分でファイルしてください。」とアメリカのタックスシーズンの荒波に放りだされます。

​多くの場合、3年目のFiling StatusはJ1 Visaを保持されたままでしたら、Physical Presence Test、つまり183日以上、身柄がアメリカにあれば、Residentとしてファイリングします。183日以下の滞在でしたら、1年目2年目と同様に、Non-Residentとしてファイルします。尚、Green Card取得出来た場合は、まったくファイリングが変わりますので、ここでは割愛いたします。

 

以下は、上記の例の続きです。

Begin counting 183 days at this date: 01-01-2017
Number of nonexempt days in United States during 2017: 365 days
Current year (2017) days in United States × 1 = 365 days
Prior year (2016) days in United States (0) × 1/3 = 0 days
Second Prior year (2015) days in United States (0) × 1/6 = 0 days
Total = 365 days

 

Shinya passes the substantial presence test on: 07-01-2017 (the 183rd day of 2017). Shinya's residency starting date under I.R.C. 7701(b) is 01-01-2017 (the first day he was present in United States during the calendar year in which he passed the substantial presence test).

2017年は183日以上身柄が米国にあるため、Substantial Presence Testにて”適格”となり、Residentとしてファイリングをします。まとめとして、上記の例にあるJ1の研究者”Shiyna Yamanaka"さんのファイリングは以下のようになります。
 

2015:
Shinya will file Form 1040NR or 1040NR-EZ as a nonresident alien.

2016:
Shinya will file Form 1040NR or 1040NR-EZ as a nonresident alien.

2017:

Shinya will file Form 1040EZ/1040A or 1040 as a resident alien.

J1 Visa 3年目のファイリングの変化

では、3年目の2017年のFiling Statusは”Resident"となった場合、ファイリングが以下のように変わります。

 

1.全世界のご収入を含めて申請する必要がでてきます。

  日本で発生した収入(賃貸、講演料、配当金、キャピタルゲインなど)も含めます。

2.夫婦合算でファイルできます。

3.基本控除(Standard Deduction)が使えます。

4.FBAR(FinCen114)/FATCAへのコンプライアンスが必要となります。

ITINの取得

配偶者様がJ2で米国に入国され、ソーシャル番号をもらえない場合は、ITIN申請をファイリングと同時に行うこともできます。夫婦合算で申告することにより、Non-Residentでは取れなかった基本控除を取り節税の可能性が広がります。

租税条約下による2年間の免税措置は3年目にどう影響するのか?
*条約下では、ビザによる差異はない。F1,J1,H1B,他関係なく、教育者、研究者に該当する。

まず、以下は日米租税条約(2003)の該当する条項と日本語訳です。

ARTICLE 20

1. An individual who visits a Contracting State (=米国)temporarily for the purpose of teaching or conducting research at a university, college, school or other educational institution in that Contracting State(米国), and who continues to be a resident(日本), within the meaning of paragraph 1 of Article 4, of the other Contracting State(日本), shall be exempt from tax in the first-mentioned Contracting State(米国) on any remuneration for such teaching or research for a period not exceeding two years from the date of his arrival.

2. The provisions of paragraph 1 shall not apply to income from research if such research is undertaken primarily for the private benefit of one or more specific persons.

1.大学等において教育又は研究を行うため米国内に一時的に滞在する人が、その教育又は研究につき取得する報酬については、米国に到着したから2年を超えない期間、米国の租税を免除する。 後発的事由等の発生による契約の改訂により米国の滞在期間が2年を超えることとなった場合でも、入国後2年間については免税とされる。
 

この規定の適用を受けることができる者は米国に到着した日以後も、日本居住者である場合、引き続き日本において課税を受けるべき者(Japanese Resident)に限られる。

2.主として1又は2以上の特定の者の私的利益のために行われる研究から生ずる所得については、(免税措置は)適用されない。

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​上記を整理しますと:

(1)租税条約の文面から免税の期間は、米国到着日から2年、つまり、米国入国日から365x2日を経過する日までという解釈となります。

(2)J1 Visa研究者の米国入国日が1月1日でない限り、J1Visa研究者3年目にも免税の期間がずれ込むことになります。

(3)米国入国後も、日本での納税義務があり、日本に居宅を有する日本居住者であれば、暦3年目に入っている免税期間中の免税措置がとれる。

例:J1 入国日 3/1/2015  継続して1/30/2018 時点アメリカの研究機関で継続勤務

(1) 2017年 Residentにてファイル

(2)2017年も日本居住者である。
(3)2017年のタックスファイルにて、1/1/2017-2/28/2017の研究機関からの収入を以下の条件が合えば免税扱いとして申請する。

​日本居住者の定義

Form 1042S

事実、3年目でも、免税額が記載されたForm 1042Sを受け取られたかたもいます。Filing Status (Non-Resident, Resident)は暦ごとのStatusであるのに対し、

​一方、お客様の中には、Form 1042Sが全く発行されない人もいます。更に、Form 1042Sが発行されても、

しかし現実は、理論とはちがうことがあります。3年目に入って、免税扱いにならない理由としては以下が考えられます。

(1)大学の事務所の処理の仕方

 ある大学では、3年目からは免税措置なし。担当曰く、暦の二年が終わったためという説明をうけました。

 条約下による免税金額を記するForm 1042Sが発行されない。

(2)日本の居住者ではなくなった。

  下記、日本の国税局での定義ご参考に。

1 居住者と非居住者

 わが国の所得税法上、「居住者」とは、国内に「住所」があり、または、現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人をいいます。居住者(非永住者を除く)は、所得が生じた場所が国の内外を問わず、その所得についてわが国において所得税を納める義務があります。


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では、実際に、免税扱いになっていない収入はどうしたらいいのでしょうか?

Form 8833(Treaty Based Return Position Disclosure)似て、該当する条約条項の記載と理由を各。

​Tax filingにて、Treaty Offset/Treatu Benefitとして、免税金額を自主申告する。